2030 SDGsで変える
間もなくやってくる土用の丑(うし)の日。「高いけれど年1回ぐらいは」とウナギのかば焼きに食指が動きます。が、ちょっと待った。そのウナギ、ブラックかもしれません。ウナギだけでなく、いま日本食に欠かせない魚介類が軒並み、手に入りにくくなっていたり、不当な方法で流通していたりします。豊かだったはずの日本の海に、黄信号がともっています。
稚魚争奪で増える「違法・無報告・無規制」なウナギ漁業
ウナギと言えば、和食に使われる食材としては代表格の一つだ。だが、どの種類のウナギかを知る消費者はほぼいない。加工されると種類がわからなくなるからだ。
ウナギは世界に16種いる。その多くが、国際自然保護連合(IUCN)により絶滅危惧種もしくはそれに準ずるカテゴリーに分類される。
ニホンウナギも絶滅危惧種だ。「ニホン」とつくが、ウナギはもともと海で生まれ、河川や沿岸域で成長する陸河回遊魚。ニホンウナギも、産卵地は、太平洋のマリアナ諸島西の海域とされる。海流に乗り約半年かけてシラスウナギに成長し、東アジアの沿岸域や河川、湖沼にたどり着く。
ウナギはいまだ、卵からの完全養殖が商業化に至っていない。日本で食べるウナギの9割以上は「養殖」だが、元になる稚魚はすべて「天然」資源なのだ。
では、日本で売られているウナギはすべてニホンウナギなのだろうか。中央大学の白石広美研究員は2024年、海部健三教授とともにウナギのかば焼きを調査した。
1~2月と7月の2回に分け…