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半導体を製造する「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」の長崎テクノロジーセンターのクリーンルーム=同社提供

 産業の「コメ」ともいわれる半導体は、生活や経済に不可欠だ。日本政府は2030年までに国内製造分の売上高を15兆円超にする目標を掲げ、各地で工場の建設や計画が進む。一方、製造工程で多くの電気や水が必要で、地球温暖化につながるガスも使う。そうした環境負荷をどう和らげるか。米アップルのiPhone用の半導体を作るソニーグループの工場を取材した。

 半導体は家電やパソコン、スマートフォンから自動車まであらゆる製品に使われる。経済安全保障推進法では、「特定重要物資」にもなっている。最近は、人工知能の開発による需要増や、経済安全保障の観点から新たな工場を作る動きが世界で広がる。

 一方、環境NGOグリーンピースによると、23~24年にAI半導体製造による電力消費量は世界で350%以上増加しているという。地球温暖化対策の観点から、取引先も含めたサプライチェーン全体の脱炭素を目標に掲げる企業も増えており、半導体工場も例外ではない。

 長崎県諫早市の「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(SCK)」長崎テクノロジーセンター(長崎TEC)の工場棟「Fab5」は、23年11月に完成。iPhoneなどのスマホ用に、レンズから入ってきた光を電気信号に変換する半導体「CMOSイメージセンサー」を作る。

 製造の心臓部クリーンルームをガラス越しに見学すると、張り巡らされたレールから、白い箱形の装置がぶら下がり、ひっきりなしに移動していた。「ウェハービークル」と呼ばれる自動搬送装置で、直径30センチの円盤状の極薄の板「シリコンウェハー」が25枚入っている。イメージセンサーの基板となる材料だ。

 ビークルは、ウェハーを工程…

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