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輪になって卵かけごはんを食べる大洲農の選手とマネジャー=2025年6月3日午後5時53分、愛媛県大洲市、水田道雄撮影
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 愛媛県立大洲農業高校(大洲市)は昨年12月、「甲子園」で金賞に輝いた。野球ではない。お米の話だ。

 農業を学ぶ高校生が学校の実習用の田んぼで育てたお米の出来栄えを競う「全国農業高校 お米甲子園」(米・食味鑑定士協会主催)で、全国67校のうち、最高金賞に次ぐ金賞の一校に選ばれた。

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 実際に米を炊いて、香りや弾力、つや、粘りなどを審査した。米づくりにかかわった野球部主将の吉田樹(いつき)さん(3年)は「つくったお米がほかの人たちから評価されてうれしかった。がんばって良かった」。

 受賞したのは、暑さに強い「にこまる」という品種。時には野球の練習の合間を縫い、校内にある約1ヘクタールの実習田で学校の先輩や同級生ら7人とともに取り組んだ「土魂(どこん)上白米(じょうはくまい)プロジェクト」の成果だ。

 同校では田植えのシーズンに合わせ、6月に「土魂の日」を設け、新入生が学校の田んぼで苗の手植えをする恒例行事を行う。「土に触れ、土に魂を込めよう」という狙いだ。

 苗の手植えは重労働で根気のいる作業だ。昨年は夏場に雨も多く、稲が傷んでしまう恐れもあった。一度傷むと修復が難しいため、肥料を入れるタイミングには苦労した。「ピンチで守り切らないといけない場面をどうやってしのぐかを考える点が(野球と)似ている」

 野球部で1年生の宮岡慶次さんは、家が米づくりをする兼業農家。今月上旬には、近くで米づくりをしている祖父(72)の田植えを手伝った。

「米だけじゃ採算合わんぞ」

 昨年、祖父の田んぼでとれた…

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