小泉進次郎氏が農林水産相に就いて約40日。積極的にカメラの前に立つ小泉氏の発言や動静は連日メディアで取り上げられ、コメ問題への世論も好転がみられる。ただ、こうした状況は、功罪が際立った父・純一郎元首相の「劇場型政治」とも重なり、あやうさを指摘する識者もいる。
連日のぶら下がり取材、次々「新方針」発表
「僕はどれ食べてもおいしくいただけます」「どうか記者の皆さん、食べてみてご判断いただきたい」――。2021~24年産米のおにぎりを食べながら、備蓄米の品質に問題がないとアピールしたのは就任1週間後の5月末。随意契約した備蓄米が店頭に並ぶ直前で、農水省内の一室に記者団を招き「試食会」を開催した。テレビのキャスターや情報番組の司会者らの個別取材にも応じた。
大臣室前では朝夕、報道陣が待ち構えるのが日常の光景となり、小泉氏は報道陣の求めに応じて毎回のようにカメラの前で立ち止まり、ぶらさがり取材に応じる。
江藤拓・前農水相時代、ぶら下がり取材は例外的なケースに限られた。一方の小泉氏は、例えば6月16~20日は平日5日間で少なくとも計9回応じ、このうち6回は米の作況指数廃止や、随意契約の対象拡大といった新たな方針をその場で発表。結果、連日のようにさまざまなメディアで、小泉氏の発言などが報じられた。
「小泉劇場の第2幕」 危惧するのは…
この間、米価は値下がりし、備蓄米の素早い放出が実現。小泉氏のコメ問題への取り組みについて6月14、15日に実施した朝日新聞の世論調査では「評価する」が68%だった。
ただ、小泉氏の情報発信のあ…