パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、トランプ米大統領は1日、イスラエルが60日間の停戦に関する条件に合意したと明らかにした。イスラム組織ハマスに対しては、合意を拒否すれば「状況は良くならず悪化するだけだ」と警告、受け入れを迫っているが、両者の主張の溝が埋まるかは不透明だ。
トランプ氏は自身のSNSに「私の代表団はきょう、イスラエル側とガザについて長く生産的な会合をもった。イスラエルは60日間の停戦を最終決定するための必要条件について合意した」と投稿した。この60日間を使い、「すべての関係者と協力して戦争の終結に努める」としている。この「最終提案」は、カタールとエジプトを通じて、ハマス側に伝えるという。
ハマスは2日、仲介国から提案を受け取ったことを認め、「(イスラエル軍による)侵攻の終結と撤退を保証する合意に至るように協議している」との声明を発表した。
イスラエルとイランの停戦を仲介したトランプ氏は、ガザでの停戦についても突破口を探っている。7日にはホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談する予定で、トランプ氏は1日、記者団に、ネタニヤフ氏も停戦を望んでいるという認識を示した。「来週合意できるだろう」とも語り、先週と同じ表現で楽観的な見通しを示した。
イスラエルとハマスは今年1月、バイデン米前政権の末期に停戦合意に至ったが、2カ月後にイスラエルがガザへの攻撃を再開して停戦は崩壊した。その後、ウィトコフ米中東担当特使が主導してきた「60日間停戦」の案が数カ月にわたり議論されてきたが、人質の解放やイスラエル軍の撤退などをめぐって意見が対立したままだった。ハマス側は、60日間の停戦を戦争の永続的な終結に確実につなげるよう、米国が確約することを求めていたとされ、その点でも折り合いがつかなかったとみられていた。
米ネットメディアのアクシオスによると、1日にはウィトコフ氏とイスラエルのデルメル戦略問題相らがホワイトハウスに集まり、カタールが提示した停戦の改定案について協議した。改定案は従来案の文言を修正したにとどまり、内容に実質的な変更はみられないという。
ガザでは5月末から、米国が主導して設立された「ガザ人道財団(GHF)」が支援物資の配給業務にあたり、殺到する住民らへのイスラエル軍などによる銃撃が相次ぐ。ガザ保健省の1日の発表では、600人が死亡、4千人以上が負傷した。
こうした状況を受け、約170のNGOが1日、共同声明を発表し、GHFの配給所付近での混乱について「国際人道法を無視した虐殺が繰り返される現場となっている」と指摘。「GHFによる配給を終了し、国連主導の仕組みに戻すべきだ。ガザのパレスチナ人は家族を養うための食料を入手しようとするなかで、飢えるか、銃弾を浴びるかというあり得ない選択を迫られている」と訴えた。