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殺傷事件があったセイコーマート

 札幌市北区のコンビニエンスストア「セイコーマート北31条店」で3人を刺し1人を殺害したとして、殺人などの罪に問われた同区の無職宮西浩隆被告(45)の裁判員裁判の判決が2日、札幌地裁であった。井戸俊一裁判長は、心神耗弱の状態ではあったが判断能力は残っていたとし、求刑通り懲役30年を言い渡した。

 判決によると、宮西被告は2024年2月25日朝、同店に包丁やナイフを持ち込み、殺意をもって店員らを襲った。セコマ社員の男性(当時40)を複数回刺して、出血性ショックで死亡させたほか、男性店員と女性店員に後遺症の残るけがを負わせた。

 公判では、被告が心神耗弱だったか、刑罰を科されない心神喪失だったかが争点となった。

 判決は、宮西被告は妄想型統合失調症で幻聴が聞こえていたが、「自分なりに判断をして行動に移している」と認定。店員が幻聴の「声」に従って自分に嫌がらせをしているとして怒りを覚え、殺害を決意したことは、「自己の怒りが優先して、怒りを相手に直接ぶつけてしまう自身のパーソナリティーが少なからず影響している」と判断した。

 妄想に端を発するものではあるが、善悪の判断がつき踏みとどまる能力もあったとして、心神耗弱とした。

 心神耗弱を考慮し、有期刑が妥当と判断したが、被害の大きさや自らの言葉で被害者に謝罪しなかったことなどから、有期刑の「上限から減らす事情はない」と結論づけた。

 被告側は心神喪失状態だったとして無罪を主張していた。

 判決後に会見に応じた裁判員は「被害に遭われた方、遺族の方にはこれからの人生を頑張ってもらいたい」「30年という一番重くなった点を被告にはすごく感じて欲しい」と話した。

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