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国立がん研究センターが発表した遺族調査報告書

 がん患者が亡くなる1カ月前、「苦痛が少なく過ごせた」と遺族が感じたのは37%にとどまる――。そんな傾向が、国立がん研究センターの調査報告でわかった。発表は3日付。患者の苦痛を取り除くためのケアが求められている。

 調査は、2021年に亡くなった20歳以上の人を無作為に選び、24年2~4月に遺族に質問用紙を送ったもの。がんのほか、心疾患、脳血管疾患、肺炎、認知症、老衰など主要な10の死因を対象とした。有効回答数は1万890人だった。

 患者の平均年齢は、がんは79.9歳。全体では87.5歳。対象となった年は新型コロナウイルス感染症の流行により、面会制限が厳しくなるなど、社会状況の変化があった。

 遺族から見て、亡くなる1カ月前の療養生活について「体の苦痛が少なく過ごせた」のは、がんでは37%で、17~18年に亡くなった人を調べた前回調査から4ポイント減少していた。心疾患(47%)、脳血管疾患(39%)など、老衰以外は、いずれも5割を下回った。

 報告書は「がん患者に限らず、人生の最終段階にある患者の苦痛対応について、改めて対策を検討する必要がある」と結んでいる。

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