3日午後4時13分ごろ、鹿児島県・トカラ列島近海を震源とする地震があり、同県十島村の悪石島で最大震度6弱を観測した。地震の規模を示すマグニチュード(M)は5.5と推定されている。
この付近で震度6弱を記録するのは初めてだが、鹿児島大の八木原(やきわら)寛准教授(地震学・火山学)は、「一連の活動の一つと考えられる。マグニチュードは、2021年12月にトカラ列島近海で起きたM6.1と比べると一回り小さく、震源の位置が悪石島に相対的に近かったことや、悪石島に揺れが伝わりやすい場所で発生したことで、震度が大きくなったと考えられる」と指摘する。
トカラ列島近海は、東側からフィリピン海プレートやその上に乗る奄美海台が沈み込み、西側では沖縄トラフが拡大しており、古い火山の痕跡もあるなど、地殻の不均質性が非常に強い場所で、亀裂や小さい断層がたくさんある。そこに、深部から水などの流体が供給されることで滑りやすくなり、地震が多発していると考えられるという。
6月21日からの震度1以上の地震の回数は1千回を超えた。過去の地震と比べても多くなっている理由については「マグニチュードが小さくても有感地震になる場合が多く、震源の場所が関係しているのではないか」と指摘。今後については「現在は活動の山の二つ目で、少なくとも1週間は続くと考えられる。今後三つ目の山ができて更に続く可能性も否定できない」という。
「M6クラスの地震が近くで起きれば、更に大きな震度を記録する可能性もある」として注意を呼びかける。