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 本人に代わり会社に退職の意思を伝える「退職代行」の利用が広まるなか、東京弁護士会が内容次第で弁護士法違反の恐れがあると警鐘を鳴らしている。退職先とトラブルになる例もあり、同会は注意を呼びかけている。

 コールセンター運営会社で正社員として働いていた30代の男性は、朝から終電を過ぎても働くなど、長時間労働が続いた。辞めたいと上司に伝えても、数カ月間引き留められ続けた。

 自力での退職に限界を感じ、退職代行業者を検索すると、ホームページで「労働組合と連携。会社と交渉可能」とうたう業者を見つけた。「ここなら安心」。業者に数万円を支払った。

会社側「本人か弁護士でないとやりとりしない」

 業者を通じて退職の意向を伝えると、会社側は「退職日などは本人か代理人弁護士でないとやりとりしない」と主張した。男性は業者に助言を求めたが、自分で連絡するか、弁護士に依頼するかを迫られたという。

 男性は、業者がホームページでうたっていた労組による交渉を、業者に依頼した。業者から、労組の口座に数千円を振り込むように指示があり、入金した。男性は、自分で労組に連絡できるか尋ねたが、業者は自社を経由するよう要求。不信感が募り、最終的には別の退職代行業者を利用したという。

 弁護士法は、弁護士以外の人が、業として報酬目的で法的な争いを代理人として交渉したり、第三者にあっせんしたりすることを「非弁行為」として禁じている。法律知識が不十分な者が間に入ると、本来の権利を主張できず、不利益が生じる恐れがあるためだ。

退職代行と労組の連携は違法か 弁護士の見解は

 男性のケースについて、労働…

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