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高層マンション群(記事の内容とは関係ありません)。全国の分譲マンションの数は700万戸を超えた=2025年1月、神戸市中央区、朝日新聞社ヘリから、小杉豊和撮影

 マンションの大規模修繕委員会に工事施工会社員らが住民になりすまして入り込んでいた事案が発覚し、国土交通省は、マンション管理組合の役員らの本人確認強化を促す方針を決めた。マンションの「標準管理規約」の注釈に本人確認の項目を加える。

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 国交省やマンション管理業協会によると、分譲マンションは2023年末で全国に約704万戸あり、住民でつくる管理組合は少なくとも約10万5千ある。国交省は、マンション所有者の権利義務を定めた区分所有法などを踏まえ、標準管理規約を設定。総会の決議や修繕積立金の運用などマンション管理についての項目を記載しており、ほとんどの管理組合がこれをひな型に規約を作っている。

 マンションの大規模修繕委員会をめぐっては、神奈川県内のマンションで5月、住民になりすまして参加していた修繕工事会社の従業員2人が住居侵入容疑で逮捕された。ほかに千葉県内のマンションなどでも同委員会に部外者が住民になりすまして参加していた。

 潜入した人物らは、修繕工事の受注などに際し自社が有利になるために、委員会の議論の誘導を狙ったとみられる。国交省は、管理組合が割高な工事費を請求される可能性もあるとみている。

タワマン、お互いの顔を知らぬ住民たち

 近年多く建設されている大型のタワーマンションなどでは、住民同士がお互いの顔を知らないケースも多い。ただ、標準管理規約には管理組合役員や大規模修繕委員会のメンバーの身分確認に関する記述はなく、なりすましが発覚しにくい状況にあった。

 このため国交省は、標準管理規約を見直すことで再発防止につなげたい考えだ。標準管理規約で、管理組合の役員や大規模修繕委員会のような専門委員会の委員選任に関する条文に、就任時の本人確認を検討するよう促す項目を注釈で加える方針だ。なりすまし事案を防ぐ趣旨も触れる。新築だけでなく、既存のマンションでも就任時に本人確認をする動きが進むことになる。

 国交省は6月下旬に標準管理規約を見直す検討会を始めている。今後、専門家の意見を聞くなどして詳細を決め、早ければ9月中にも改定する。

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