埼玉県八潮市で起きた下水道管の破損に起因するとみられる道路陥没事故は、インフラ老朽化問題の深刻さを全国の自治体に突き付けた。専門家は事故の未然防止策をあらかじめ検討することこそ政治家らの役割だと警鐘を鳴らす。
全国の下水道管のうち「腐食のおそれが大きい」場所は、国土交通省が5年に1度以上の点検を義務づけている。
2023年度の年報(24年10月公表)によると、埼玉県の点検実施率は44.6%。都道府県ごとの差は大きく、大阪府(85.9%)、栃木県(77.9%)、三重県(同)などは高く、高知県(2.1%)、奈良県(17.3%)、山梨県(20.1%)などは低い。
だが、八潮市で破損した下水道管は、国交省が「腐食のおそれがある」として定期点検を義務づける対象ではなかった。全ての下水道管を独自基準で点検している埼玉県の22年の点検でも「ただちに改修が必要ではない」との判定だった。
それでも事故は起きた。19…