Smiley face
写真・図版
G7サミットで記念撮影に臨む(左から)フランスのマクロン大統領、カナダのカーニー首相、トランプ米大統領、英国のスターマー首相、ドイツのメルツ首相=2025年6月16日、カナダ西部カナナスキス、ロイター

 ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢など、国際情勢が極度の緊張状態にある中、米欧の連携が焦点となっています。6月末にオランダ・ハーグで開かれた北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議では、加盟32カ国が防衛費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げることで合意しましたが、ロシア・ウクライナに対するトランプ米大統領の対応や、米国の関税政策による米欧の溝は解消されてはいません。欧州はこれらの問題にどう対応していくべきか。ロンドン大キングスカレッジのパチェコ・パルド教授(国際関係論)に聞きました。

  • 日本に防衛協力を呼びかけ 遠い欧州のリトアニアがなぜ?国防相語る

 ――米国のトランプ政権は、従来の国際秩序を軽視するような振る舞いが多く、政権発足後に米欧の間に大きな溝が生まれました。この状況をどう見ていますか

 「欧州はいま非常に複雑です。一番の原因は、大陸内で起きているロシアとウクライナの交戦の問題です。トランプ氏が当初、ウクライナや欧州各国に事前の相談なく、突然ロシアと交渉を始めたことは、欧州全体に大きな衝撃を与えました。ただ、このことを通じて、欧州各国がこれまで米国に依存し、自国の安全保障に十分な努力と支出をしてこなかったことは浮き彫りになりました。トランプ氏はその点について、欧州への不満を露骨にぶつけています。NATO首脳会議では連携を再確認することができたものの、これまで同じ価値を共有する同盟国だった米欧の足元が揺らいできていることは否定できません」

突きつけられた技術力の低迷

 ――そこに関税が課されました。英国は米国との関税交渉で合意に至りましたが、日本を含め、それ以外のほとんどの国がまだ交渉を終えられていません

写真・図版
ハーグで2025年6月25日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席したトランプ米大統領(左)とNATOのルッテ事務総長=ロイター

 「基盤が揺らぎ始めた米欧関…

共有