イスラエルがパレスチナ自治区ガザでの戦闘開始以来、レバノン、イランへと攻撃範囲を広げたのはなぜか。イスラエルとアラブ諸国の関係はどうなるのか。パレスチナ問題の行方は。エジプトのシンクタンク副代表で中東情勢や国際関係をウォッチしているムハンマド・ラビ・ディヒ氏に聞いた。
――イスラエルがイランを攻撃した狙いは何でしょうか。
イスラエルは、中東の親イラン武装組織(ガザのイスラム組織ハマスやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ)を攻撃し、さらにイランそのものを攻撃しました。その一番の狙いは、イランの影響力を取り除き、イスラエル自身の地域での勢力範囲を拡大することです。ナイル川からユーフラテス川にいたる地域での主導的な国になることを目指しています。
2023年10月7日のガザのイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃で、イスラエルは多大な脅威に直面していると気づき、親イラン武装組織と対決し、さらにイランの拡張を阻止することに駆り立てたのです。
アラブの春の後のような混乱の可能性
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