新聞各社の選挙の報じ方が変わりつつある。参院選前に相次いで選挙報道の指針を設けて「過度に公平性を重視せず、積極的に報じる」などと宣言。ファクトチェック体制を拡充する社もある。選挙中に候補者による選挙妨害事件が起きたり、SNS上で真偽ない交ぜの情報が錯綜(さくそう)したりした際に、「選挙の公正」を重視した結果、報道が十分ではなかった反省が背景にある。
全国紙では朝日、毎日、日経が5月以降選挙報道の指針を発表し、複数の地方紙も6月以降続いた。
きっかけは、昨年あった複数の選挙だ。
4月の衆院東京15区補選で対立候補の選挙カーを追跡し、その様子を動画配信していた候補者が逮捕・起訴された。
7月の東京都知事選では、政治団体がポスター掲示場にポスターを貼る権利を事実上販売し、選挙とは無関係の広告に利用された。苦情が殺到し、選挙ポスターに品位を保つよう義務づける改正公職選挙法の施行につながった。
11月の兵庫県知事選や名古屋市長選では、候補者や争点に関するデマや真偽不明の情報が拡散した。
記事後半では、「ファクトチェックも万能ではない」と指摘する識者の分析や、朝日新聞が新たに定めた選挙報道の基本方針も紹介します。
「選挙報道の減少が陰謀論につながる」
選挙報道について、公選法1…