デジタル社会を支えるデータセンター(DC)が気候変動によって危機にさらされていると、気候変動リスク評価をする国際コンサル企業XDIが9日、発表した。日本の都市も高リスクの拠点として名前が挙がった。
報告書では計画中のものも含め、世界中の約8900のDCについて分析した。温室効果ガスの大量排出が続いたと仮定し、2050年時点で洪水や森林火災、台風など、気候変動に関連する八つの災害リスクの大きさを予測した。
日本では、141のDCが分析対象になった。今でも10カ所に1カ所は「高リスク」で、50年にはその割合が14.18%に上がるという。中でも、57のDCを抱える東京が「高リスク」26.32%で世界7位、33のDCを持つ大阪が同6.06%で45位に位置づけられた。
「炭素排出減が費用対効果高い」
「高リスク」のDCは、建物の寿命内でDCが全壊または部分的に物理的な損害を受ける可能性が高いとされる。日本以外でも、上位10位までに中国、インド、タイなどアジアの都市が多く入った。沿岸浸水、河川の洪水、台風の風による被害が大きいとみられるという。
世界全体では、50年時点で「高リスク」とされたDCが7.13%だった。重大な損害を受ける可能性がある「中リスク」には19.6%が該当した。
報告書は、「炭素排出を減らし、さらなる地球温暖化を防ぐことが、DCの運用を維持するための最も費用対効果の高い方法だ」と指摘した。一方で、DCは多くの電力を消費するため、気候変動対策を進める上での懸念事項にもなっている。