(9日、第107回全国高校野球選手権東東京大会2回戦 東海大高輪台14―0国際・駒場=5回コールド)
風に乗った打球はぐんぐん伸びて、左翼席に吸い込まれた。今大会、神宮の本塁打第1号。東海大高輪台の富田隼輔(3年)は、思わずガッツポーズした。「神宮で打ったのは初めて。自分でもびっくり」。一回裏2死二塁、フルカウントから高めの直球を振り抜いた。
低く、強い打球を打つことを心がけている。体が開く悪い癖がでないように、芯を外さないように。帰宅後もバットを振り続け、気づいたら日付が変わっていたこともあった。その効果が出て、鋭い打球は本塁打に。「昨日、学校の友達に『打ってくるよ』って言っていたんです。本当に打てた」とはにかんだ。
兄の姿を追って、今春、同じ高校に入学した二つ下の弟、遥人さん(1年)も野球部員。小学生からずっと同じチームで野球をしてきた。家族でご飯を食べている時に、「甲子園、行きたいな」と話すことも。打ったあとも、三塁側スタンドの弟を思わず探した。「弟には、チームを引っ張る背中を見てほしい」
兄弟そろって甲子園を目指す最初で最後の夏。「甲子園は選ばれた人しかいけない場所。兄弟で、甲子園に行きたい」