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外野に整列後、マウンドに向かって一斉に前進する選手たち=2025年7月10日午前10時20分、こまち、阿部浩明撮影
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 第107回全国高校野球選手権秋田大会(朝日新聞社、県高校野球連盟主催)は10日、2年ぶりに主会場となる秋田市のこまちスタジアムで開幕した。快晴の空のもと、甲子園への切符をかけてしのぎを削る出場チームが開会式で勢ぞろい。今年度の育成功労賞を受賞した能代の責任教師、納谷聡さんの始球式で始まった開幕戦は、湯沢翔北が一回に3長短打で先制。計13安打を放って7回コールドの7―0で湯沢を破り、2回戦にコマを進めた。11日は1、2回戦計11試合が行われる。

 午前10時からの開会式では、この日を心待ちにした選手が次々と左翼の入場ゲートをくぐって行進した。参加は、昨夏の38チーム(43校)から2チーム減り、三つの連合チームを含む36チーム(41校)。3人の女子マネジャーがアナウンスを担当し、入場行進では各チームから寄せられた意気込みのコメントを紹介した。

 全チームが内野に整列後、昨夏代表の金足農の佐藤晃真主将(3年)が深紅の優勝旗を返還した。

 県高校野球連盟の田口康会長があいさつに立ち、「苦しい場面で不安になることもあると思うが、皆さんの努力の積み重ねは消えることはない。自信を持って堂々とプレーしてほしい」と選手にエール。大曲農の菅原一蓮主将(3年)が夏空に高らかと選手宣誓し、戦いのムードをもり立てた。

 大会は4球場で繰り広げられ、休養日は13、16、19、21日の4日。決勝は22日に組まれており、こまちスタジアムで午前10時開始の予定だ。

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 「希望の夏」。こだわった文言を盛り込んで、大曲農の菅原一蓮主将が選手宣誓をした。

 文案は、野球部の部長や担任の先生にもアドバイスしてもらいながら練った。支えてくれた人たちへの感謝に続けて触れたのは「戦後80年」。世界で戦争が絶えない現状を思い、自分たちの野球から平和への願いを伝えたかったという。

 「高校野球が永遠に続くよう、野球を通して得たかけがえのないものを後世につなぐことは私たちの使命です」

 最後は、「一球一打に100%の力を出し切り、多くの方々に勇気と感動を与えられる希望の夏にする」と90秒の宣誓をしめくくった。

 大役を終えて「ホッとした」と安堵(あんど)の表情を見せ、でもすぐに、「初戦に向けてチームの意気は上がっている」と気持ちを切り替えた。

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 開会式の司会は、いずれも野球部マネジャーの3年生で、金足農の藤原美優さん、秋田中央の石郷岡麗衣さん、湯沢翔北の市川梨瑚(りこ)さんの3人が務め、落ち着いた口調で的確にアナウンスした。

 藤原さんは「緊張したけど、観客が拍手で盛り上げてくれたのでリラックスできた」と振り返り、「ミスなくアナウンスできたので良かった」と笑顔だった。

 石郷岡さんは「球場全体に伝わるように、ゆっくりと大きな声で話すように気を付けた」といい、「100点満点の出来でした」。

 チームが開幕戦に登場する市川さんは「選手のみなさんが気持ち良く試合に臨めるように気持ちを込めた」と話し、「明るくさわやかに、選手たちを元気づけられた」と声を弾ませた。

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