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八回裏、再びマウンドに上がる東稜の中村天空さん=2025年7月12日午後1時41分、わかさスタジアム京都、木子慎太郎撮影

(12日、第107回全国高校野球選手権京都大会2回戦 立命館9―2東稜)

 「リベンジしか頭になかった」。東稜のエースで4番の中村天空(そら)さん(3年)は、昨夏にコールド負けをした立命館を相手に、五回まで2失点と粘りの投球をみせた。四回には自らの適時三塁打などで同点に。しかし、六回表の走塁中に左足をつり、その裏から中堅の守備に回った。

 東稜には「ANTS」というチーム名がある。一人ひとりが役割を果たし、集団で立ち向かう「ありんこ軍団」の中心にいたのが中村さんだった。

 試合終盤、体調が回復すると「もう一度、投げたい」との思いがわき出た。遊撃手の藤本幸太朗さん(3年)に伝えると、仲間たちがその願いを大杉歓聖(よしまさ)監督へとつないだ。

 コールド負けまであと1点となった八回裏1死二塁、再びマウンドへ。1人目の打者を打ち取ったが、続く打者に左前打を浴びて7点差。中村さんの夏が終わった。

 試合後、大杉監督は「このチームは中村のチーム。彼の背中に、みんながついていった」と振り返った。「悔いはないです」と語る中村さんは、仲間を引っ張り、信頼も得た「ありんこ軍団」のエースだった。

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