■杉本昌隆八段の棋道愛楽
棋士の公式戦で「対アマ」を最も意識する対局は、朝日杯将棋オープン戦でしょう。開幕戦はアマとプロによる一斉対局が恒例です。今年は6月29日の9局と7月6日の1局で、計10局が行われました。
その結果はプロの7勝3敗。
プロの貫禄を示したという見方もあれば、もっと大差で勝たねばという考え方もあるでしょう。プロとアマ、それぞれの意地を感じた勝負でした。
当然ですが、プロはアマ棋戦には出られません。ルールでも心理的にも一定の隔たりがあります。しかし今回、私たちにとってあまりに身近な、元奨励会の選手が7人もアマ代表になっていました。つまり、ともに修業をした、同じ釜の飯を食った間柄の人たちとの対戦でもあったのです。
アマと戦うことは、プロ側にいつも以上のプレッシャーがかかります。負けてはいけない、いやプロの勉強をしてきた自分が負けるわけがない……。一昔前はそんな考え方が主流で、それが私たちの矜持(きょうじ)でもありました。
特に強い、この場のアマ
しかし前述したように現代は…