娘婿から連絡を受けた永野弘子さん(81)が現場に駆けつけると、既に規制線が張られ、報道陣などが集まっていた。2001年6月29日午後2時50分ごろ、娘の関岡晴美さん(当時34)が北九州市若松区の自宅で胸などを刺され遺体で発見された。
第一発見者は晴美さんの4歳の長男だった。幼稚園の送迎バスで帰った際、外で待っているはずの母親の姿が見えず、家に入った後に叫びながら飛び出してきたと聞いた。
それから、慌ただしい日々が始まった。孫たちは同じ市内の永野さん宅に身を寄せた。娘婿や夫は連日警察署で事情聴取を受け、永野さんは掃除のために現場に通った。
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リビングに残る娘の血を雑巾で集め、拭き取る。「どんなに痛い目に遭ったか」。手に血がにじむほど何度も床をたたき、ひとり声を出して泣いた。
事件から2カ月ほど経ち、孫たちと現場となった家で暮らし始めた。9月の夕暮れ時、ふいに孫がリビングの一角を指さして言った。
「ママ、ここに倒れていたんだよ」「起きてくれなかったよ」「血が出ていたよ」
動揺した。「たぶんお水じゃ…