(12日、全国高校野球選手権石川大会1回戦 金沢錦丘7―0金沢伏見)
金沢伏見の主将でエース、吉田光汰投手(3年)は、ベンチからのスタートだった。1週間前に腰をけが。マウンドを仲間に託し「自信持って投げて」と声をかけ続けた。
しかし、金沢錦丘に6点をとられて、監督に「何とか投げたい」と直談判。七回から2番手で登板し、三者凡退に打ち取った。「0点に抑えられてうれしかった」
九回には無死二、三塁のピンチ。守備のタイムでメンバーが集まり、再び守備位置に戻ると、マウンドには吉田投手の笑顔があった。「勝負が面白く感じていた」。犠飛で得点されたが、最少失点に抑えた。
その裏の攻撃で「絶対に出塁してやる」と打席に立ち、真ん中のカーブを振り抜いた。「二塁打かなと思ったら意外と遠くに飛んだ」。三塁で大きくガッツポーズをつくった。惜しくも後続が断たれ、背番号1の夏は終わった。「みんなにありがとうと言いたい」とほおを緩めた。
将来は救急救命の仕事を目指している。「野球も医療もチームプレー。野球と同じように、コミュニケーションを大切にしたい」と話した。