14日、石破茂首相が「大曲の花火」で知られる秋田県大仙市に入った。自民党元職の候補者の集会前、農家らとの意見交換会に臨んだ。
「生産者に対する配慮が明らかに欠けていた」。米農家の斉藤拓さん(32)が、右隣の首相に臆せずに訴えた。安い備蓄米の放出時に「農政への不安と不満が、不信に変わる前にメッセージが欲しかった」。
大仙市はブランド米「あきたこまち」の一大産地で、米の収穫量は新潟市に次ぐ全国2位を誇る。地元JAの斉藤武志組合長は小泉進次郎農林水産相の就任を機に「流れが変わった」と言う。
その兆候は公示前からあった。6月の日曜朝、無所属現職の候補者が大仙市で集会を開いた。
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農機の買い替えに退職金の7割
「もう限界です」。質疑の時間になると、2列目にいた米農家の佐藤毅さん(67)が直立し、こう訴えた。政府による備蓄米の放出で「頭が真っ白になった」。
土地改良区に長く勤め、自民を支持してきた。今回、非自民候補者の集会に出席したのは政府への抗議でもあった。
4日後、記者が佐藤さんを訪ねると、炎天下の倉庫はサウナのようだった。農機を見せ、「うちには『ベンツ』が何台もある」と自嘲気味に話す。その買い替えに退職金の7割を充てたという。
全農秋田県本部によると、需…