事件が起きてから長い年月が経てば、証拠や目撃証言が集まりにくくなり、無実の人を有罪にする冤罪(えんざい)を生む危険がある▽長い年月の間に事件が忘れられ、社会全体の「犯人を罰して欲しい」という感情が薄れる▽逃げていた間に築いた社会との関係を尊重する――。一定期間が過ぎると刑罰権が消滅する公訴時効が存在する理由として、主にこの三つが挙げられてきた。
【地図で見る】全国の未解決殺人事件
殺人事件の時効が廃止されてから今年で15年。未解決の殺人事件の真相解明の一助になることを目指し、事件を一覧できるページを作成しました。各事件のリストでは、情報提供ができる電話番号も掲載しています。
「あとひと月事件が遅く起きるか、制度が変わるのが早ければ、叔父の事件も時効にならなかったわけですか……」
2010年に刑事訴訟法が改正され、1995年4月28日以降に起きた殺人事件は時効がないことを記者が説明すると、男性(78)は考え込むようにつぶやいた。
千葉県横芝町(現在の横芝光町)の県道脇にある山林で1995年3月5日、男性の叔父である堀越実さん(当時62)が遺体で発見された。遺体には左耳の上を撃たれた銃痕があり、県警は翌日、短銃による殺人事件とみて捜査本部を設置した。
堀越さんは、5人兄妹の上から4番目で、男性の父親の弟にあたる。事件当時は左官職人だった。結婚し、男性の自宅から50メートルほどの近所に住んでいた。
「深い交流があったわけでは…