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 高騰する米価対策が参院選の争点となる中、「時給10円」とも言われたコメ農家の収入にも注目が集まっている。最低賃金にも満たない低水準は、なぜ生じるのか。

 時給10円は、農林水産省の「営農類型別経営統計」をもとにして割り出された数字だ。田んぼでコメなどを育てる農家や法人が1年間に得た農業所得を、1年間の労働時間で割って算出し、国会審議でも取り上げられた。

 2022年のコメ農家など1経営体あたりの農業所得は約1万円。これを労働時間の約1千時間で割ると、時給は10円となる。最新の23年のデータでは、米価が上がった影響などで農業所得は9万7千円に上昇し、時給は98円となった。

写真・図版
北海道有数の米作地帯・上川盆地に広がる水田=2025年6月4日、北海道東神楽町、原知恵子撮影

 元農林水産省統計部の職員でウェブサイト「フード・マイレージ資料室」を主宰する中田哲也さん(65)は「時給10円や時給100円は、日本の農家全体を示すものではない」と指摘する。

大規模化進むと時給が減る 統計の特性

 そもそも、この調査には自分…

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