欧州連合(EU)は18日、ロシアに対する新たな制裁案を承認した。当初は6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)での合意にこぎ着ける予定が、トランプ米大統領からの支持が得られず、EU内でも一部の加盟国が反対し、最終的な承認まで時間を要した。
この日採択されたのは、2022年に始まったロシアによるウクライナへの全面侵攻以降、第18弾となる追加制裁案。ロシア産原油の価格上限を1バレル60ドルから47・6ドルに引き下げるほか、ロシアから欧州に天然ガスを供給する海底パイプライン「ノルドストリーム」の1と2に関する取引を禁止する。
また、ロシア産原油を運ぶ「影の船団」と呼ばれる船舶105隻も新たに制裁対象に加えられた。さらに、国際的な決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの銀行を追加で排除する措置なども盛り込まれた。
原油の価格上限の引き下げをめぐっては、EUは6月のG7サミットで各国の足並みをそろえる計画だった。しかしトランプ氏は「まず欧州がやればいい」と突き放し、協調に消極的な姿勢を示した。EU内でも、ロシアへのエネルギー依存度が高いスロバキアが強く反対し、調整に約1カ月を要した。
一方、トランプ氏も今月14日、ロシアがウクライナとの停戦に50日以内に応じなければ、ロシアと取引する国に100%の関税を課す考えを表明。これまで見せていたロシアへの融和的な姿勢から一転、即時停戦に応じないプーチン大統領への不満を募らせ、ロシアへの圧力強化に一歩踏み出した形だ。