Smiley face
写真・図版
朝日俳壇の4選者。左から永田和宏さん、佐佐木幸綱さん、川野里子さん、高野公彦さん=2025年3月7日午後0時7分、東京都中央区、杜宇萱撮影

 7月20日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は永田和宏さん、川野里子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さんです。☆は共選作です。

  • 【投稿はこちら】朝日歌壇への投稿、ネットからも
  • 【配信中】記者サロン「馬場あき子さんと振り返る 朝日歌壇の半世紀」申し込みはこちら

永田和宏選

 観音の細き手首にうつすらと躊躇(ためら)ひ傷のやうな接ぎ痕(あと)(宇治市)濱岡  学

 非常時に核シェルターになるだろか地下三階の北習志野駅(船橋市)佐々木美彌子

 宗教の対立による戦争より損得でやる戦争怖し(名古屋市)浅井 克宏

 この日会う人全員に「わあ!綺麗」と言わせる披露宴の気まずさ(小田原市)中村 玲子

 危機的な悲鳴と違ふ少女らの青大将を見し悲鳴なり(三鷹市)宮野隆一郎

 セルリアンブルーのシャツで出かければ風も時間も私の味方(富山市)松田 わこ

 「急にいなくなったりしないでくださいね」そう言ったのはあなたでしたよ(大阪市)加藤 成和

 「カッコよくて頼れるせんぱい」寄せ書きに見つけるわれの知らない息子(和泉市)星田 美紀

☆子らのこと〈ガキ〉と言うひと蚕(かいこ)のこと〈お蚕(こ)さま〉と呼びぬむかしの吾が村(松戸市)猪野 富子

 立夏から立秋までを積分し夏の一首を仕上げてごらん(松山市)しのはらまさし

 【評】濱岡さん、手首の微(かす)かな継ぎ目が「躊躇ひ傷」に見えたのは、観音様にも何か深い傷があるのかとの思いか。佐々木さん、ウクライナでは実際にシェルターとして使われていた。十首目、面白いが、歌を作るなら、積分じゃなく微分でしょう。

川野里子選

 母となれば野生動物の気分で…

共有