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関西の中村亮孔選手=2025年7月19日午前10時32分、倉敷市営、上山崎雅泰撮影
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(19日、第107回全国高校野球選手権岡山大会2回戦 玉島商1―0関西)

 五回表、玉島商に1点を先取され、なおも1死一、二塁のピンチ。関西の中村亮孔(りく)選手(3年)は、投手継投のタイミングで一塁から遊撃の守備に回った。背番号は「6」。本来の守備位置だ。

 準優勝した昨夏はベンチ入り。新チームでは正遊撃手になった。守安基弘部長は「チームの中心で、信頼できる選手」と評価する。

 しかし今年3月、練習中に左ひざを痛め、春の公式戦は出られなかった。プレーできない間は、ひざ付近を鍛えるトレーニングを黙々と続けた。何とか間に合った最後の夏は、負担が軽い一塁手で先発出場した。

 この試合の遊撃の守備についた最初のプレーで、鋭い打球を直接捕球し、飛び出した二塁走者を見て自ら二塁を踏んだ。併殺となり、ピンチを救った。「いい流れで攻撃につなげられる。まずは1点をかえそう」。仲間と確認し合った。

 反撃のチャンスは、1点を追う七回裏に回ってきた。2死三塁で打席に立ち、「絶対に走者をかえす」と振り抜いた打球が左翼へ。同点になる、と思ったが、体ごと飛び込んだ左翼手に好捕された。1点が遠く、試合に敗れた。

 試合後、「チームを引っ張る側と思いながらプレーした。夏に出場できて感謝しかありません」と目を赤くした。

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