世界的な名門大として知られる米マサチューセッツ工科大(MIT)の学生が2023年から毎年、宮城県気仙沼市を訪れ、小中学生や市民と交流を続けている。市は5日、MITの学生を派遣するプログラムと包括連携協定を結んだ。市民と学生が互いに視野を広げる機会の充実に向け協力する。
このプログラムは、大学内の組織が日本語を学ぶMITの学生をインターンシップで日本の企業や研究機関に派遣する「MIT―Japan Program」(MITJ)。約40年前に立ち上げられた。ただ、これまでの受け入れ先は都市部に偏っていた。地方での交流を持とうと日本のNPO法人を介し、まずは22年に市内の小中学生にオンラインでプログラミング体験会を実施。翌年から、気仙沼に5日間滞在する機会をつくった。
協定では、MITの学生がこれまで同様に東日本大震災後の復興やまちづくりについて学んだり、市内の子どもたちに科学や工学を通して問題解決力や創造性を育む「STEAM教育」に触れる機会を提供したりすることを確認。MITの学生と市民が、マラソンのようにアイデアを互いに出し続けて内容に磨きをかける「アイデアソン」などを通じ、気仙沼の課題解決や地域振興を研究し、交流をより充実させる内容も加えられた。
締結式に参加したMITJのクリスティーン・ピルカベージ代表は「MITの学生はTokyoやKyotoにはない地方の良さ、地方特有の問題などに接する貴重な機会を得られる」と強調。「地方でこそ、STEAM教育を通して子どもたちのキャリアの可能性を広げる意味は大きい」と双方にとっての意義を説明した。
菅原茂市長も「気仙沼をフィールドにして、多くの子どもと市民の交流が育まれるようにしっかりと市もサポートしていく」とあいさつした。