飢餓が深刻化するパレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍は27日、人道支援物資を拡大するとして、戦闘を限定的に停止すると発表した。北部ガザ市や中部デイルアルバラなど3地域で、毎日午前10時から午後8時まで軍事作戦を一時停止する。物資を運ぶ国連などの支援団体の車列が安全に移動できるルート(人道回廊)も設置する。
また、イスラエル軍は27日、人道支援物資の空中投下を実施したと発表した。
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イスラエルは、イスラム組織ハマスへ圧力をかけるためとして、3月上旬から2カ月半以上にわたり支援物資の搬入を完全に停止した。その後、搬入は部分的に再開されたが、必要な支援にはほど遠く、飢餓が拡大している。
5月末からはイスラエルと米国が支援する「ガザ人道財団」(GHF)が南部ラファなど4カ所で配給を始めた。ただ、配給所に押し寄せた人々がイスラエル軍などに銃撃される事案が相次ぎ、ガザ当局によると、これまでに1千人以上が死亡した。
イスラエル軍の一連の措置は、国際社会からの批判を受けたものとみられるが、発表された3地域以外では攻撃は継続される。また、イスラエル側は飢餓については「存在しない」との認識を変えておらず、「ハマスの虚偽のキャンペーンだ」と主張している。