インバウンド(訪日外国人客)が増えたことによる観光地の混雑を敬遠する、日本人の「京都離れ」は本当に起きているのか。京都商工会議所はソフトバンクや長崎大学と人流データを分析する共同研究を始めた。来年3月末をめどに集計・分析し、京都府・京都市への政策提言に生かす方針だ。
共同研究では、ソフトバンクの通信回線を使う携帯電話端末約3千万台の位置情報を用いて、観光やビジネス目的で京都を訪れた人の数や動きを把握する。ソフトバンクは2021年7月から、匿名化処理をしたうえで位置情報にまつわるビッグデータを蓄積しているといい、共同研究では府内の観光地10~20カ所を対象に、1時間きざみで域外から訪れた滞在人口を把握していく。分析は、長崎大情報データ科学部の一藤裕准教授が担当する。
試しに22年と24年の5月3~5日の京都市東山区のデータを比較したところ、東京都からの滞在人口は半減しているという。
7月23日に記者会見した京都商工会議所の堀場厚会頭は「インバウンドの増加で潤うホテルなどがある一方、国内客の減少で売り上げが落ちている老舗や地域密着型の施設がある。肌感覚ではなく、科学的なエビデンスに基づいた提言をしていきたい」と共同研究の意義を強調した。
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