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タイ東北部スリン県のシェルターで2025年7月28日、タイとカンボジアが無条件での即時停戦に合意したとの知らせを聞いて喜ぶ避難者たち=AP
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 タイとカンボジアの停戦が29日、発効した。ただ、タイ軍が、停戦発効後にカンボジアが攻撃を行ったと主張するなど、緊張状態は続く。関税交渉をテコにしたトランプ米大統領の圧力によりもたらされた停戦合意だが、双方の敵意は簡単には収まらず、対立が再燃する恐れをはらむ。

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 タイ軍は29日、カンボジアが複数地点でタイ側を攻撃したと主張。「停戦合意違反だ」と非難した。タイ政府は、停戦協議を仲介したマレーシアや米中に対して、カンボジアが攻撃を行った証拠を提出すると発表した。

 一方、ロイター通信によると、タイで暫定首相を務めるプームタム副首相兼内相は同日、停戦発効後に国境付近で衝突があったと認めつつ、「対立の過熱はない。状況は落ち着いている」と報道陣に語った。28日の首脳会談での合意事項に盛り込まれた、双方の現地軍幹部の非公式協議も29日に開かれ、戦闘の停止などで合意した。両国政府は停戦の維持に向けて歩み寄る構えとみられ、今後も戦闘停止の状態を続けられるかが焦点となる。

 停戦合意に向けて双方の背中を押したのが、トランプ氏による停戦協議の仲介だ。その際、トランプ氏は両国に「戦闘が続いている限りは、どちらの国とも(関税)合意は結ぶつもりはない」と警告していた。

 特に、タイが交渉の席に着くと決めたのは、トランプ氏による関税交渉をからめた圧力が要因とみられる。タイは米政権との「相互関税」交渉が進まず、7月末の期限を目前に焦りを募らせる。

 タイの税率はカンボジアと同じ36%。7月の税率見直しでカンボジアは49%から引き下げられた一方、タイは当初の数値が据え置かれていた。

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