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 大衆芸能にまつわる洒脱(しゃだつ)な文章で知られた演劇・演芸評論家でエッセイストの矢野誠一(やの・せいいち)さんが7月23日、心不全のため死去した。90歳だった。葬儀は家族で営んだ。喪主は長男敦さん。しのぶ会を後日催す予定。

 東京生まれ。文化学院を卒業後、演劇活動を経て1962年から八代目桂文楽ら昭和の名人たちが出演する「精選落語会」をプロデュースした。「古典落語大系」といった落語の解説や速記本の編集も手がけた。上方落語の桂米朝独演会を東京で仕掛けるなど、演芸の東西交流も担った。

 70年代以後は執筆活動に軸を移し、落語をはじめ演芸や芸能の造詣(ぞうけい)を評論やエッセーにつづった。「志ん生のいる風景」「女興行師吉本せい」「戸板康二の歳月」など多くの評伝を書いた。

 俳優の小沢昭一や加藤武らと…

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