Smiley face
写真・図版
イメージイラスト・張思甜

 大切な友人から何度も自殺したいと相談され、その度に止めてきたが、最後は手を貸してしまった――。法廷で声を詰まらせながら後悔の念を述べた被告の女(20)に遺族が伝えた言葉とは。

 5月30日に仙台地裁であった初公判。上下黒のスーツ姿で法廷に現れた被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 被告は2月28日正午前、仙台市内の自宅で友人だった女性の自殺を手助けしたとして自殺幇助(ほうじょ)の罪に問われた。検察側の冒頭陳述や被告人質問などから犯行に至る経緯をたどる。

「悩みを共有できる大切な人」

 被告は幼い頃から孤立感や無力感を抱えて生きてきた。同じ大学に通っていた友人は、時折わいてくるそうした感情を分かち合える存在だったという。「悩みを共有し、理解し合える大切な人」だった。

 友人からは「死にたい」「自殺を手伝ってほしい」と相談されることが度々あった。だが、その度に励まし、翻意させていた。

 被告も同じ願望にさいなまれていたが、思いとどまっていた。検察側が証拠として提出した書面によると、友人の両親は「あなたも娘に救われたことがあるはず」と述べていた。

 しかし、お互いを支え合っていた関係に転機が訪れる。1月31日、友人と食事をした際のことだ。友人から再び「自殺を手伝ってほしい」と伝えられた。「止めることが良いことなのか」「手伝うことが彼女のためになるのではないか」……。1カ月近く悩んだ末に被告が出した結論は、友人の願いに応えることだった。命を絶つ手助けをした後、自ら110番通報した。

 なぜ犯行を決意したのか。5月30日の公判で、検察官が被告に尋ねた。

「生きていてほしかった」

 検察官 「(引き受けてから…

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