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西脇道夫・聖籠町長

フォーラム 地方移住を考える③

 新潟県北部にある日本海に面した聖籠町は、ここ30年、人口が増加傾向にあります。隣接する新潟市や新発田市へのアクセスの良さが大きな理由です。日本全体の人口減少は続き、町も長期的に見れば減っていく見込みですが、西脇道夫町長は「移住政策を前面に出すことはしない」と言います。町のこれまでと、人口減対策を聞きました。

若い人が都会を目指すのは自然

 ――聖籠町の人口はここ30年増加傾向にあります。

 「現在の町の人口は約1万4千人で、1990年と比べると約2千人増えました」

 「バイパスが開通して隣接する新潟市や新発田市へのアクセスがよくなったことが大きい。以前は昼過ぎに新潟市中心部で用事があると朝から出かける必要がありましたが、30分ほどで行けるように。新発田市なら10分かからない。土地が安い聖籠町に家を建てて両市に通勤する人が増えたのです」

 ――交通の面が大きかったと。

 「そうです。町にある新潟東港の工業地帯への企業進出もいっきに増えました。これはバイパスが関東方面に続く高速道路とつながったからです。町内には進出してきた企業に勤める人もいます」

 ――住民への施策は?

 「子育て支援は早い段階から実施しています。約20年前に町内の幼稚園(現こども園)で早朝保育、延長保育を始め、数年後には通常保育料を無料にしました。いまでは国が無償化をしていますが、これはインパクトがあったと思います」

 「児童クラブや休日保育、18歳までの医療費無償化を導入し、子育てに関わるソーシャルワーカーも配置しています。どうしたら子育て世帯や共働き世帯が安心して暮らせるかを考えています。給付とメンタル面の支援の両方をそろえることが大切です」

 ――しかし、町の人口移動を見ると、男女ともに15~19歳、20~24歳の転出超過が顕著です。

移住政策は前面に出さない

 「大学に行きたいとか、やり…

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