うたをよむ 郡司和斗
歌壇俳壇面のコラム「うたをよむ」。今回は歌人の郡司和斗さんが、先行する言語表現の影響を受けつつ、新たにどう表現できるのか、短歌における引用をテーマに考察します。
テレビアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ガンダム ジークアクス)』(監督:鶴巻和哉)の放送が6月で終わった。本作は過去のガンダム作品からの大量の引用で成り立っており、絵的な快楽や物語の展開よりも、そのメタ的な方法に注目が集まり、賛否が分かれた。私は本作に袋小路的な印象を強く抱いたが、同時に、引用という方法がここまで視聴者の反応を引き出す時代もこれまでなかったのでは、と思った。
私を使う たとえば君が傷ついてくじけそうになった時は
仲井澪「予告」
「冬のシカゴと短歌賞」というインターネット上での自主企画で話題になった作品。二句目以降は杉本竜一「Believe」という曲の歌詞からの引用である。脳裏によぎる原曲の調べと定型のせめぎ合いから生まれる独特な韻律感覚に胸がざわめく。
「百年先も愛を誓うよ」ピカ…