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2006年の決勝と再試合はABCテレビの伊藤史隆アナウンサー(左)が2日連続で実況した

 今年はNHKの放送開始から100年。その始まりから2年後には夏の甲子園大会がラジオ中継され、これが国内初のスポーツ中継となった。朝日放送(ABC)テレビとテレビ朝日の共同制作で始まった「熱闘甲子園」は今年45年目。全試合のダイジェストを当日夜に放送し続けている。夏の甲子園大会に欠かせない中継と番組。引き継がれる制作者の思いとは。

 「こちらは甲子園出張所であります」「投げました、打ちました」

 高校野球の初中継は1927年の第13回大会。国内初のスポーツ中継として、現在のNHK大阪放送局がラジオ中継した。東京放送局と違う独自路線を目指し、注目したのがスポーツ。実況したのは、市岡中(現市岡)の選手として第2回大会に出場した魚谷忠アナウンサー。当時は米や株式の相場情報の放送が優先され、中継の中断もあったという。

 戦争での大会中断、再開をへて、NHKのみだった甲子園中継に参入したのが、地元・関西が拠点のABCだ。開局翌年の52年の第34回大会から。「NHKにはない実況を」と、今では当たり前となった解説者付き中継が始まった。

最高視聴率は50.8%を記録

 そして白黒テレビが登場する。甲子園大会の中継は、国内でテレビ放送が始まった53年にNHKが全国で、57年にはABCテレビの前身・大阪テレビ放送が関西で始めた。60年代にはいずれもカラーでの中継に。PL学園が逆転サヨナラで優勝を決めた78年の第60回大会閉会式は、NHKの大会中継で過去最高の視聴率50.8%を記録した。

 夏の甲子園で女子マネジャーがベンチ入りできるようになった96年の第78回大会には、ABCテレビの関根友実アナウンサーが女性で初めて甲子園で実況を担当。99年にはNHKの藤井彩子アナウンサーが担った。応援団が陣取るアルプススタンドでの中継には、系列各局や各都道府県のアナウンサーが登場するようになった。

 「熱闘甲子園」は79年の第61回大会で、決勝当日に大会を総括する1時間半の特番として始まった。視聴率が24%ほどと良かったことから81年にシリーズ化。大会期間中の夜に連日、その日の全試合をダイジェストで伝える30分番組に。98年からは長島三奈さんがメインキャスターを務めた。

 現在のNHKのテレビ中継は、全都道府県の地元局で地方大会決勝を中継し、夏の甲子園大会は地上波(総合テレビ・Eテレ)で実施。ABCテレビでは、バーチャル高校野球で系列各局と共に夏の地方大会を全試合無料配信。夏の甲子園でも地上波(近畿2府4県・系列各局)とBS朝日で中継している。

 昼の試合中継、そして夜の熱闘甲子園。ともに夏の高校野球には欠かせない存在となっている。

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