モルタル製の防空壕のなかは暗く、床にたまった水が壕の外の風景を反射していた=2025年5月23日午前9時42分、さいたま市浦和区、折井茉瑚撮影 ここは、時間が止まっているみたいだ。 マンションが立ち並ぶさいたま市の中心部に、木々の緑に囲まれた一角がある。 敷地には、あんこを作っていた木造の製餡(あん)工場や高さ20メートルの煙突が今も、形をそのまま残す。 門近くのヒマラヤ杉に隠れるように、防空壕(ぼうくうごう)はひっそりとたたずむ。 入り口の重い3枚の鉄板を外…