日本百名山に数えられる南アルプスの名峰、甲斐(かい)駒ケ岳(山梨県、2967メートル)で、登山道の荒廃が深刻化している。「日本アルプスで一番つらい登り」と言われ、江戸時代には信仰登山も盛んに行われた。そんな歴史ある道を守ろうと、民間団体がこの夏、保全活動を本格化させた。
「日本百名山」の深田久弥が絶賛した山
その道は「黒戸尾根」と呼ばれる。
ウイスキー産地で知られる北杜市・白州の森の中が登山口だ。白い岩が雪のように輝く山頂まで、標高差約2200メートルをひたすら登る。一般的なペースで歩くと山頂までたっぷり9時間かかり、「日本三大急登」にも挙げられる。
日本百名山を選んだ文筆家で登山家の深田久弥は、甲斐駒ケ岳をべた褒めした。
いわく「日本アルプスで一番代表的なピラミッド」は甲斐駒であり、「日本アルプスで一番奇麗な頂上」は甲斐駒にある。そして「日本アルプスで一番つらい登り」は黒戸尾根のルートだとダメ押しした。
さらに「甲斐駒ケ岳は名峰で…