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藤波美帆・千葉経済大学教授(本人提供)

 大企業では、60歳で定年を迎え再雇用に移ると、賃金が一律で大きく下がるのが一般的だとされてきました。「60歳の崖」に関して、企業の意識や取り組みは変わってきているのでしょうか。再雇用の人事制度について、高齢者雇用の研究を続けている藤波美帆・千葉経済大学教授(人的資源管理)に聞きました。

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 ――再雇用に対し企業の意識は変わってきていますか?

 「少子高齢化が進む中、法改正で希望者全員の継続雇用が義務付けられました。多くの企業で60歳超の社員数が増加し、雇用を維持するだけでなく、重要な戦力にしようという意識に変わってきています。ただし、まだ完全に制度が追いついているとはいえません」

納得性を得る必要

 ――どのような課題がありますか?

 「法改正前は、再雇用が義務ではない上に対象者数が少なく、個別に運用できました。しかし今は、再雇用が義務化された上に対象者が大幅に増え、担ってもらう仕事も多様化し、処遇を含めた人事制度の納得性を得るのが難しくなっています。モチベーションを上げる必要もでてきています。少人数であれば、そのモチベーションを上げるためにコストをかけるよりも、他の何千人といる社員のモチベーションさえ高ければ良かったわけです。でも、再雇用が増えてくると、モチベーションを上げるための施策が必要になってきます」

 「労働力不足も影響していま…

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