大和ハウスプレミストドーム(札幌市豊平区)を運営する札幌市などが出資する第三セクター「札幌ドーム」が12日、開業30年にあたる2031年までに売り上げ30億円・稼働率80%の達成をめざす中期経営計画を発表した。
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札幌ドームは、プロ野球・北海道日本ハムファイターズが「エスコンフィールド北海道」に本拠地を移転して以降、業績が悪化しており、経営の立て直しが急務となっている。
今回掲げた「売り上げ30億円」は、ファイターズ移転前の2021年度(約31億円)や22年度(約29億円)に匹敵する水準で、「稼働率80%」は過去最高(77.9%、15年度)を上回る。24年度の売り上げが約17億円で、2期ぶりに薄氷の黒字を達成したばかりのドーム社にとっては、高い目標といえそうだ。
今夏に社長に就任したJTB出身の阿部晃士社長は会見で「達成の自信は100%。勝ち筋はある程度見えてきた」と強調。主力の貸館事業は「20億円が天井」と見ており、「新規事業を拡大することなどで残りの10億円を稼ぎ出す」との考えを示した。
会見では新規事業の構想の一つとして、外国人観光客向けアクティビティーの拡充をあげた。冬季に雪遊びの体験機会を建物外の広大な空間も活用して打ち出し、ASEAN諸国などに売り込みたいという。
さらに、国内外の観光客の間でよく使われる大手の宿泊予約サイト経由では「手数料が東京や本国に持って行かれる」と指摘。「北海道にお金が落ちる仕組み、システムを考えている」とも明かした。
また、収益性の高いイベントの誘致や地域住民のウェルネス拠点化、ドームのイベントから道内観光地や宿泊・飲食店などへの「送客の導線」強化にも注力するという。
阿部社長はドームを「世界と北海道をつなぐ交流創造拠点」と位置付け、「社員ひとりひとりが自律して課題解決に挑み、北海道・札幌を元気にするため成長していきたい」と語った。今後、この目標をもとに各課で具体的なアクションプランを練っていくという。