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「皆で助け合わなければ」と、支援団体から届いた食料品を玄関先に並べる男性=長野市(画像の一部を加工しています)

 半開きの玄関ドアの脇に食料品が積まれていた。長野市内のアパートの一室。住人の男性(77)は「必要な人に持っていってもらいます」。

 自身は生活保護受給者で、このアパートには同様の立場の人が少なくないという。支援団体からの食料や日用品などが届くと、ここに並べている。1年ほど前は何日か残っていたが、「最近はあっという間になくなります」と男性は話す。

 東北出身で、集団就職で東京に出た。50歳を過ぎた頃に長野に来て、建設現場で就労。重機と建物の間に体を挟まれる事故に遭い、左ひざの骨が粉々に砕けるなど大けがを負った。3度の手術と数年間の入院、リハビリを余儀なくされ働けなくなった。収入は途絶え、生活保護に頼らざるを得なくなった。15年ほど前のことだ。

収入は11万円ほど、切りつめる食費

 その後の2013~15年、国による生活保護費の大幅な引き下げがあった。最高裁は6月、この処分を違法と判断。減額決定を取り消した。

 男性も減らされた一人だ。い…

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