(9日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 市船橋2―6明豊)
チームメートお墨付きの笑顔を全国の舞台でも随所で見せた。
七回裏2死二、三塁、市船橋の満崎隆一郎(3年)は余裕の表情で球を見極める。だが、内心は甲子園に響き渡る「市船soul」が耳に入らないほど集中していた。
フルカウント後の6球目を右方向へ飛ばすと、相手一塁手は打球を体ではじき、取りこぼした。満崎は一塁へ駆け抜け、コーチャーとグータッチ。三塁走者の清水公輔(同)が生還し、この日初得点を挙げた。
満崎を含む3年生52人は入部以来、誰一人欠けずにここまでやってきた。スタメンとメンバー外の部員でモチベーションの差で生まれ、チームがバラバラになった時も、ダブルキャプテンの田中健人(同)と吉田航成(同)を中心に何度もミーティングをした。
試合を重ねるごとに全員がチームの「勝ち」のために何をすべきか考えるようになった。満崎はチームについて「本当にみんな良い人で、これからもずっと一緒にやっていきたいくらい」。
チーム結成時からの目標「甲子園1勝」は達成できず、「本当に悔しい」。それでも甲子園という大舞台で、堅い守備からリズムをつくる市船橋らしい試合ができた。
幼い頃から目指してきた舞台。この日の入場者数は約7万人。多くの観客で埋まるスタンドを前に全国レベルの学校と対戦し「夢のような場所で楽しかった」。