コロナ禍からの回復やインバウンド需要による旅客増加に伴い、成田(千葉県成田市)、関西(大阪府泉佐野市など)、中部(愛知県常滑市)の各空港で、トイレや通路などにスーツケースが放置される事案が急増している。テロを警戒して爆発物などの有無を確認後、落とし物として保管する警察署の幹部は、「対応に数時間かかり、拾得物の保管庫もいっぱい。放置は絶対にやめてほしい」と呼びかけている。
中部空港で7月、第2ターミナルビルの出入り口付近にスーツケース1個を捨てたとして、愛知県内在住の30代の男性会社員が県警に廃棄物処理法違反容疑(投棄禁止)で書類送検された。
中部空港署によると、会社員は6月、スーツケースが機内に持ち込めない大きさと気づき、中身を家族のスーツケースに移し替え、投棄したという。スーツケースを捨てたとして同法違反容疑で検挙されたのは、2005年の開港以来初という。
各空港の運営会社などによると、旅行客数はコロナ禍からの回復とともに増加。成田は21年度の647万人に比べ24年度は4077万人、関西は364万人に比べ3180万人、中部は283万人に比べ1104万人となり、関西ではコロナ禍前を上回った。
こうした旅客の増加にともない、コロナ禍以前にも確認されていたスーツケースの放置事案も急増。21年度に比べ24年度は、成田が338件から1073件、中部が22件から85件、21年度未調査の関西では22年度の221件に比べ、24年度は816件と3~4倍増となり、関西では過去最多となった。
空港関係者によると、こうしたスーツケースは、国内外の旅行客らが入国時に旅行先での買い替えや出国時に増えた土産などを入れるために、買い替えて不要になったり、大きさと重さの制限で手荷物として預けられなかったりして、廃棄されたとみられるという。
「落とし物」扱い、調査に3時間
中部空港署によると、放置さ…