Smiley face

 笑顔で握手するロシアのプーチン大統領と、厳しい表情で応じるトランプ米大統領――。米アラスカ州で15日に開かれた、ウクライナ全面侵攻後で初となる米ロ首脳会談。「平和の追求」との文字を背景にした共同記者会見で2人が見せた表情は、世界が注目した会談の「勝者」を物語っていた。両首脳の前向きな言葉とは裏腹に、即時停戦で合意できず、具体的な和平協議の進展を示せなかった。侵攻終結の道筋はなお、見えないままだ。

 会談の数時間前、トランプ氏はいつも通りの余裕の表情を見せていた。プーチン氏とほぼ同時刻にアラスカ州の空港に到着し、米国の制裁対象であるプーチン氏を赤じゅうたんの上で出迎えた。B2戦略爆撃機が上空を飛び、「世界最強」とも言われる米国のステルス戦闘機F22を前に握手を交わす派手な演出で歓迎する厚遇ぶり。プーチン氏は通常、外国訪問の際にもロシアから運ぶ大統領専用車で移動するが、トランプ氏の大統領専用車「ビースト」の後部座席に一緒に乗り込み、親密さをアピールした。

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米アラスカ州アンカレジのエルメンドルフ・リチャードソン統合基地で2025年8月15日、ロシアのプーチン大統領(左)と握手をするトランプ米大統領。2人はウクライナにおける戦争の終結を交渉するために会談する=ロイター

 だが、首脳会談の冒頭でトランプ氏の表情は一変し、口数も減った。会談時間は予想よりかなり短く、見せ場のはずの会見では質問も受け付けなかった。マスコミ対応を好むトランプ氏には異例で、具体的な進展がないことに落胆したかのように、先にプーチン氏に発言させる間はほとんど視線を宙に浮かせていた。

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米アラスカ州アンカレジのエルメンドルフ・リチャードソン統合基地で2025年8月15日、ウクライナでの終戦に向けた交渉のために会談した後、記者会見に臨んだロシアのプーチン大統領(左)とトランプ米大統領=ロイター

 これに対し、終始、満足げな…

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