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 落語家の桂南光さんと、関西のミュージアムを巡る新企画「桂南光のジョーゼツ美術館」を始めます。初回は京都の河井寛次郎記念館。民芸運動に参加した陶芸家河井寛次郎(1890~1966)の作品で、釉薬(ゆうやく)を大胆に飛び散らせた「白地三色打薬扁壺(しろじさんしきうちぐすりへんこ)」について、孫でもある鷺(さぎ)珠江学芸員と語り合いました。

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桂南光さん(右)と河井寛次郎記念館の鷺珠江学芸員=2025年7月17日、京都市東山区、水野義則撮影

「親戚の家みたい」な記念館

 南光 最初に来たのはたぶん30年ぐらい前やと思います。作品は大阪の骨董(こっとう)品屋さんで見たことがあって、ちょうど近くの安井金比羅宮で米朝一門会がある時に、早めに来て寄ってみました。聞くと、寛次郎先生が自分で設計された家で、それを残して記念館にされたと。先生が作った椅子にも座れるし、なんていうところやと。以来、通ってます。ここはもう本当に親戚の家みたい。昔、まだお客さんが少なかったころに、そこの小さい部屋で昼寝をしてしまったこともあるくらいです。

 鷺 管理運営しているのが遺族で、椅子も元々あって使っているものなので、使うということへの抵抗感が少ないのかもしれません。作品を見る場所というよりは、過ごしてもらう場所にしたいという思いもあります。

写真・図版
河井寛次郎「白地三色打薬扁壺(しろじさんしきうちぐすりへんこ)」(1957年ごろ)=2025年7月17日、京都市東山区、水野義則撮影

 南光 この「白地三色打薬扁壺」、いいですよね。もとが白やから、涼しげですよ。それにきれいやから見飽きない。

 鷺 「三色」の作品においては、白ベースのものは案外少ないんです。3種類の太い筆で釉薬をバンバンって打ち付けていて、アクションペインティング(米国の画家ジャクソン・ポロックらが用いた絵画技法)みたいな感じでやっています。

 南光 最初のころは、中国や朝鮮の古陶磁を完璧に写したようなものを作っておられましたが、60代のこの作品を見ると、落ち着くとかがなくて、ええ意味でずっと燃えてはるというか、青春っていう感じですよね。

 鷺 芸術家には2通りのタイ…

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