子どもが水に溺れるなどして心停止したときに強く推奨されている人工呼吸と胸骨圧迫を組み合わせた蘇生法が、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020、21年に大きく減少していたことが、岡山大の研究グループの分析で明らかになった。胸骨圧迫のみの蘇生法では死亡リスクが高まり、本来なら救えたはずの命を失っていた可能性もあるとしている。
感染リスクの壁
大人の心停止は心筋梗塞(こうそく)など心臓に原因がある場合が多いが、子どもの場合は水に溺れたり物をのどにつまらせたりして息ができなくなり、心停止するケースが多いという。このため子どもの心停止では人工呼吸を含めた心肺蘇生法が望ましいとされてきた。
一方で人工呼吸は技術的にも心理的にもハードルが高く、ためらっている間に胸骨圧迫の中断時間が長くなることから、大人に対しては胸骨圧迫のみの蘇生法が広がってきたという。さらに新型コロナの流行を受け、感染リスクを下げるために人工呼吸を控える動きが加速。こうした動きが子どもの救命行動にどのような影響を与えていたか、これまで十分に検証されていなかった。
助かるはずが亡くなった子、年間10.7人
研究グループでは、消防庁が…