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山梨学院―沖縄尚学 五回表山梨学院1死満塁、横山の三ゴロで相手失策の間に、生還し喜ぶ二塁走者宮川(中央)。左は投手末吉=田辺拓也撮影

(21日、第107回全国高校野球選手権大会準決勝 沖縄尚学5―4山梨学院)

 五回1死一塁。山梨学院の2番・宮川真聖(まさと)選手(3年)に3回目の打席が回ってきた。ファウルで粘った9球目を右前へ。今大会自身7本目の安打で好機が広がった。チームはこの回、同点の均衡を破る2点を奪った。

 準決勝までの4試合すべてで安打を放った。初戦の聖光学院戦では八回、相手を突き放す右前適時打を放ち、勝利に貢献した。今大会の打率は4割超え。春の苦い思い出を上書きするような活躍だった。

 今春の選抜大会2回戦の西日本短大付戦、一回の守備だった。右翼への痛烈な打球をダイビングキャッチしようとして後ろにそらし、ランニング本塁打に。いきなり3点を失った。試合は5―11で完敗した。

 今夏に向け、打撃力を鍛える日々を送った。丸太を持って走ったり、素振りを毎日600回こなしたり。だが、苦い思いは頭の片隅に残っていた。

 山梨大会の決勝で成果は出た。日本航空に1点リードされた五回、真ん中に入った直球を振り抜いた。同点となるソロ本塁打は、3年ぶりの夏の甲子園へチームを導く一打となった。「山梨大会の一発で、あのミスはチャラになった」(吉田洸二監督)

 わずかの差で決勝の舞台には届かなかった。「2年生の2人(の投手)をカバーできず申し訳なかった。でも、この夏、やりきりました」。試合後、そう語った。

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