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ちーむ輪島人のメンバーが、重蔵神社の前に寄付してくれた人たちの名前を示す看板を設置した。背景には重蔵神社の壊れた鳥居が見える=2025年8月6日午後5時48分、石川県輪島市河井町、上田真由美撮影

 石川県輪島市の夏を彩る輪島大祭が、今年は特別な形で行われる。能登半島地震の影響で、従来のように巨大な灯籠(とうろう)「キリコ」が4日連続で乱舞する祭りはできない中、1977(昭和52)年度生まれの同級生たちが結束。まちの壁を越えた今年ならではの祭りに挑む。松明(たいまつ)の代わりに花火で夜空を鮮やかに照らす計画だ。

 能登地方は「祭りの国」とも言われ、6市町約200地区で7~10月にそれぞれの農漁村の暮らしを反映したキリコ祭りが行われてきた。都会に出た若者が「盆や正月には帰らなくても、祭りの日には帰省する」と言われるほど、祭りは地域コミュニティーの結束を確かめ合う大切な機会だった。

 中でも輪島大祭は輪島市中心部の海士町、河井町、鳳至(ふげし)町、輪島崎町の四つの神社の夏祭りの総称。8月22~25日の間に4日連続で行われ、各町の総漆塗りの豪華なキリコが巡行し、観光客にも親しまれてきた。

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輪島市中心部の四つの町

 初日の海士町・奥津比咩(おきつひめ)神社の祭りでは女装した男衆がみこしを担いで海に入り、23日からの河井町・重蔵神社の祭り、24日からの鳳至町・住吉神社の祭りでは多くのキリコが巡行して松明を倒す。最終日の輪島崎町・輪島前(わじまさき)神社の祭りでは漁師町らしくタイの形をしたみこしが町内を練り歩く。

 ところが昨年元日の能登半島地震でそれぞれの神社も練り歩くまちも大きな被害を受けた。家を失い、離れて暮らさざるを得ない人もいて、昨年は河井町の重蔵神社と鳳至町の住吉神社の祭りだけで一部のキリコが巡行した。その祭りも、重蔵神社大祭のクライマックスに大松明を倒す広場には仮設住宅が立っていて、松明を立てるのは見送った。

 今年も松明は立てられないが、その代わりに明かりをともそうと、77年度生まれの輪島市出身の同級生たちが立ち上がった。連携して復旧・復興に携わる市外や県外の業者にも寄付を募り、花火の打ち上げを企画した。

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昨年の重蔵神社の大祭で回転しながら巡行するキリコ=2024年8月23日午後7時24分、石川県輪島市、金居達朗撮影

ちーむ輪島人

 同級生たちは「ちーむ輪島人」。河井町で写真館を営んでいた蕨野(わらびの)敬(けい)さん(48)が昨夏に呼びかけて結成した。蕨野さんは輪島朝市周辺の火災で自宅兼スタジオが焼失し、同級生の家に身を寄せていた。そのとき同級生たちと「何か輪島を元気づけることがしたい」と話したのがきっかけだ。

 5人のLINEグループをつ…

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