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おかずは1種類ずつ小皿に盛りつけ、食べ終えた母が達成感を得られるようにした=西村かおるさん提供

それぞれの最終楽章 百寿の母と排泄ケア(3)

日本コンチネンス協会名誉会長 西村かおるさん

 コロナ禍の2020年6月、高知市内の実家で当時97歳の母と暮らし始めた私が真っ先に悩まされたのが、母の失禁に伴う悪臭と汚染でした。長年、排泄(はいせつ)ケアの専門家として活動してきた私がさまざまな対処方法を示しても、母はわざと補聴器をつけないなど、聞く耳を持ちません。「あんたたち夫婦は私を大切にしない」と文句を言われたり、「外でどんなに偉そうにしても、あんたは私の娘」などと、介護される負い目からか、優位に立とうとしました。

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 まず、私が寝泊まりする2階の洋間の前に、高性能の空気清浄機を設置しました。毎朝目覚めてドアを開けると、1階の母の部屋から階段を伝って上がってくる臭気に苦しめられます。私は必ず母より先に起きて窓を全開にし、空気清浄機のパワーも最大にした後で、階下の母を起こしに行きました。

 また、母は使用済みの紙おむつをどこへでも置くため、1階の母専用トイレと母の部屋に、それぞれ重曹を入れた「ふた付きポット」を置き、そこへ捨てるようしつこく伝え、私も見つけ次第、入れるようにしました。

 母が自覚症状のない慢性膀胱…

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