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 メニューはすべて400円、しかも「デカ盛り」を貫く人気の居酒屋がある。物価高による値上げが相次ぐなか、この店の店主が選んだ道は、一部のメニューの提供をとりやめ、「デカ盛りを楽しみに来るお客さんのために」値段と量を死守することだった。

 居酒屋「花門(かもん)」(東京都板橋区上板橋3丁目)は、東武東上線・上板橋駅にほど近い街道沿いにある。

 ご飯3合に卵10個、タマネギ2個、豚肉150グラム、ケチャップ1本を使った約3キロのオムライスや、こんもりと盛られた重さ1.5キロの唐揚げも、すべて1皿400円(税込み)。一緒に食べる人が増えると、値段はそのまま、さらに量が増える。食べきれなければ持ち帰ることもできる。予約はあっという間に埋まるという人気ぶりだ。

 料理を盛った皿を出すと客から驚きの声があがり、会計時に「金額が間違っていませんか」と聞かれることもある。

写真・図版
デカ盛り唐揚げ=2025年8月6日午後6時41分、東京都板橋区上板橋3丁目、立岩穣一撮影

サイコロステーキを注文しようとした妊婦が…

 店主のコルドバッチェ・マンスールさん(61)は1988年、日本語を学ぶためイランから来日した。92年に「花門」を開店。「お客さんにどんどん来てほしくて『カモン』にした」が、当初はどこにでもあるような店だった。

 2年後、転機が訪れた。

 サイコロステーキ(800円…

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